2016年09月06日

お仕事徒然

暦の上ではとっくに秋が始まっているようですがまだまだ暑いのでございます。

この夏やったカギの仕事を何回かに分けて書かせていたできます。



・・・



午前から午後にかかる時間でした。
携帯に役所から電話がありました。
「あの・・・カギを開けていただきたいんですが・・・おいくらぐらいかかるでしょうか・・・」
電話の人はケースワーカーの方でした。
僕は大体のお値段を言うと
「ありがとうございます。では、お願いできますか・・・もし(部屋の)中に(住人が)いなくても出張費はお支払いいたします・・・もし扉を叩いてすんなり出てきてもお支払いいたしますので・・・」

こういうケースというのは結構あるんです。
何らかの介護や支援を受けている人の一部には人と接触することを極端に嫌う人が少なからずいます。
今回のケースの人もいうなれば今までと同じく 知らんぷり を決め込んでケースワーカー、役所の人を困惑させている類の人だと僕も思っていました。

住人が住んでいる集合住宅まで行くと2人のケースワーカー(男女各一人)が扉を叩いていました。
「あの・・・(部屋の)中から声は聞こえるんですが・・・出てこようとはしないんです・・・何言っているかも聞き取れなくて・・・一か月ほど前にも同じようなことがあってレスキューがベランダの掃き出し窓を割って入ったんです・・・それからすぐに入院したんです・・・最近退院して・・・」

住人がどんな病を持っているか、そもそも病をもっているのかとかは僕には関係ありません。とにかく早急にカギ、というより扉を開けて状況を把握しなければなりませんでした。
ベランダからの侵入も考えましたがベランダは高所にありたどり着くにはかなり危険を重ねければいけないのであきらめました。掃き出し窓は割れたままだったのは確認できました。
僕は扉に戻りピックで開けようとすると
「この方(住人)は極端に人嫌いで・・・私たちにはかろうじて心を開いてくれるんですが・・・前回レスキューが入った時には扉が開かなくするように扉の内側に自分で細工していたんです・・・恐らくカギを開けても扉は開かないかもしれません・・・」

中からかすかに人の声がするのを聞きながらピッキングでカギを開けました。でも扉が開きません。ケースワーカーが言っていたようにおそらく内側に何らかの細工をしているようでした。
僕はバールで無理矢理こじ開けました。

バキン

軽と重を足して2で割ったような音を立てて扉が開きました。細工していました。

扉から2メートルほど離れた部屋の入口に横たわってこちらを向いている人間の頭がありました。何らかの表情はしていたのでしょうが恐らく僕と目が合っても彼は僕を認識していない状況、認識どころか意識がなく目を開けたまま言葉、声を発しているようでした。
女性のケースワーカーが
「○○さん、入りますよ」
と言って靴を脱いで入って数秒後
キャーッ!
と叫び声をあげました。
「骨が・・・骨が見えてる!」

時と場合、状況によるのですがカギ屋は扉の内側には入らないという暗黙の鉄則があります。
どういう状況かははっきりとはわかりませんでしたが住人は生きていたこと、そしてその住人の体の一部から骨が見えていたこと、自力で助けを呼べなかったことだけはわかりました。

住人が生存していたのでさっさと帰ってもよかったのですが僕は警察と救急車が来るまでケースワーカーの人と一緒に現場にいました。
posted by stairhea at 11:43| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする